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月別アーカイブ: 2025年9月

機創技研の雑学講座~やりがい~

皆さんこんにちは!

機創技研、更新担当の中西です!

 

~やりがい~

 

 

1|この仕事の役割——“船を止めない”を設計する

船舶修理は壊れた箇所を直すだけではありません。安全・確実・短時間で復帰させ、運航計画と荷主約束を守る“海運の血流維持”がミッション。オフハイアを1時間でも削る価値は、世界の物流に直結します。


2|いま、現場に求められている主要ニーズ 📈

  • 短時間復旧(TAT最小化):寄港わずか数時間・沖待ち中のライディング修理で“一発仕上げ”。

  • 確実性と再現性:NDT・計測・写真台帳・時刻同期ログで証跡を残す。

  • 安全最優先:タンク・高所・熱作業の**リスク評価(PTW/LOTO)**徹底。

  • 予知保全×部材前出し:振動・温度・油分析のアラートを“3寄港前シグナル”に変換して部材を前出し。

  • 環境・規制対応:塗装・排ガス・バラスト等の改造をEPCM型で一気通貫

  • デジタル対応:3Dスキャン→先行製作、遠隔査察、クラウド納品書・電子署名。

  • グローバル供給網:どの港でも同等品質——標準SOPと共通工具・消耗品のセット化。

  • コスト最適化:工数・艤装・停泊費の総コストで意思決定(安さより“早く確実”)。


3|この仕事のやりがい 🌟

  • “動き出す瞬間”に立ち会える
    再起動→異常なし→復航。数値と音で分かる復帰の手応えは格別。

  • 運航と経済を守る実感
    1日のオフハイア短縮=船主・荷主・港湾の損失回避に直結。社会貢献が具体的な数値で返る。

  • 段取りで難題を解く快感
    狭小・荒天・時間制約下で、安全×品質×スピードを両立できたときの達成感。

  • 職人技×エンジニアリングの融合
    現合の妙、温度管理、溶接WPS、アライメント……手と頭の両輪が磨かれる。

  • チームの一体感
    甲板・機関・ヤード・メーカー。国籍も職種も越えて**“船を動かす”**目標でつながる。


4|やりがい×ニーズが交差する瞬間💬

  • 寄港6時間で主機補機オーバーホール
    先行3D計測→工場先製作→ライディング乗船。停泊延長ゼロで継続運航。

  • 船底塗装の環境条件“可視化”
    温湿度・露点・膜厚を写真+計器値で記録。再塗装クレームゼロに。

  • 予兆アラートを“前出し部材”に変換
    軸受温度と振動トレンドから次寄港で交換、故障停止を未然回避


5|“今すぐ効く”現場ミニ戦略 🧰

  1. 寄港T-48/T-24/T-8h段取り表
     作業・人員・クレーン・タグ・廃棄・許可を時間逆算でブロック化。

  2. ライディング標準BOX
     共通工具/消耗品/PPEの定番化で積み忘れゼロ。

  3. 写真台帳の3原則
     “広域→中域→近接”、計器と同一時刻、後工程が読める矢印・注記

  4. 安全“止める権限”の明文化
     誰でもStop Workできるカードを配布、朝礼で再確認。

  5. 3寄港前シグナル運用
     センサー異常→部材在庫→港手配→通関まで自動チェックリスト化。


6|成果が見えるKPI📊

  • オフハイア時間(h/件)/ドック在泊日数

  • 再工事率・同一不具合再発率

  • 安全指標:TRIR、ヒヤリハット報告率(高いほど学習文化)

  • 工程遵守率:クリティカル作業の遅延回数

  • 予兆→未然回避率(アラート件数に対する停止回避)

  • 証跡整合率:船級・荷主査察での指摘件数

  • CO₂/燃費改善量(改造後の実運航データ)

大切なのは他社比較より、自社のベースラインを上げ続けること


7|キャリアと学びの道筋 🎓

現場工→班長(安全・工程)→工区長→施工管理→改造EPCM/プロジェクト→技術部門・営業技術。
横断スキル:NDT・溶接WPS/PQR・アライメント・塗装QC・安全法規・英語コミュニケーション・データ記録。


8|これからの潮流 🚀

  • 代替燃料レトロフィット:LNG/メタノール/アンモニア対応で防爆・換気・検知の再設計。

  • ロボ・ROV常用:水中検査・タンク点検の無人化で安全と品質を両立。

  • デジタルツイン×予知保全:運航データ→劣化予測→部材前出し→工程自動編成。

  • Uptime契約:修理を“時間売り”から稼働率保証へ。価値の中心が“止めないこと”に。


まとめ ✨

船舶修理業のニーズは、短時間・確実・安全・証跡・予防・環境
その中でのやりがいは、船を再び動かす瞬間の高揚世界の物流を守る誇り段取りで難題を解く面白さにあります。
“船を止めない修理”を、今日の一手で。⚓🔥

 

お問い合わせはこちらから!

機創技研の雑学講座~変遷~

皆さんこんにちは!

機創技研、更新担当の中西です!

 

~変遷~

 

1|職人技と鋼船の時代(〜1970年代)

蒸気からディーゼルへ、木造から鋼船へ。修理はリベット→溶接へと主役が交代し、

  • 罫描・手計測・型板を頼りに**現合(げんごう)**で板継ぎ・骨替え

  • 機関は直列・V型中速機を分解点検で延命

  • 船底は手作業のケレン+塗り替え、ドック工程は“人手と段取り”が決定要因
    職人の勘と経験が品質を左右する、クラフトマンシップ中心の時代でした。


2|機械化と標準化:コンテナ化がもたらした変革(1970〜1990年代)

世界的なコンテナ化が進み、運航の定時性と回転率が最重要に。

  • ドックはガントリー・大型クレーン・自走台車で重整備を効率化

  • 溶接は自動・半自動、NDT(UT/RT/MT/PT)で品質を可視化

  • 機関はメーカーのオーバーホール基準で標準整備化、補機はユニット交換が主流

  • **船級・港湾国管理(PSC)**が浸透し、書類・記録の整備が必須に


3|グローバルサプライチェーンと外航需要の拡大(1990〜2000年代)

アジアのドック・修繕ヤードが台頭。コスト×リードタイムの競争が激化。

  • ライディングクルー(航海同乗修理)でオフハイア最小化

  • CMMS(保全管理)で時間基準保全→状態基準保全への布石

  • 塗装は高機能防汚塗料の普及でドック間隔が長期化、工程は“環境条件”管理へ


4|規制ドリブンの改造(レトロフィット)期(2010年代)

環境・安全規制が修理の主戦場を変える。

  • **BWMS(バラスト水処理装置)**の搭載、配管・電装・制御まで一体工事

  • **SOx規制(硫黄分上限)**対応でスクラバー改造や燃料切替

  • CO₂・NOₓ基準強化に伴うプロペラ・バルブ最適化、低摩擦塗料など省エネ改造

  • ドローン・内視鏡で閉所・高所の点検省力化、安全と品質の両立が進む


5|DXと予知保全:止めない修理へ(2020年代〜)

センサー・通信の発達で“壊れる前に手を打つ”が現実に。

  • 機関・軸受・発電機の振動・油劣化・温度を常時モニターし予兆検知

  • 3Dスキャン・CAD/BIMで事前製作→現地一発合わせ、停泊時間を短縮

  • デジタル証跡(作業ログ・写真・レポート)で船級・荷主への説明責任を高速化

  • ロボ・ROVによる水中検査・船底清掃の常用化でドック外保全を拡充


6|タイムラインで一気に把握 ⏱️

  • 〜1970s:職人技・現合/リベット→溶接

  • 1980–90s:機械化・NDT・標準整備/コンテナ化で回転率重視

  • 2000s:グローバル調達とライディング修理/CMMSの導入

  • 2010s:環境規制レトロフィット(BWMS・SOx等)

  • 2020s–:DX・予知保全・水中ロボ/ドック最適化と証跡デジタル


7|ビジネスモデルの変化

  • ドック集中→分散保全:寄港地での短時間メンテ航海中ライディングの組合せへ

  • EPCM化:改造は“設計・調達・施工・船級対応”を束ねる総合受託が主流

  • サービスとしての稼働(Uptime as a Service):契約を“時間”から“稼働率・燃費改善”に移す動き


8|いま現場で効く“運用工学”💡

  1. 事前3Dスキャン→工場先行製作
     実船合わせを減らし、停泊中に一発取り付け

  2. 予兆KPIの見える化
     振動・温度・油分析のしきい値とアラート動線を船陸で共通化。

  3. 工程のモジュール化
     BWMS・スクラバーは架台・配管ラック・ケーブルハーネスをユニット化。

  4. 安全×品質のデジタル証跡
     WPS/PQR・溶接履歴、NDT結果、気象・塗装環境を写真+時刻同調で残す。

  5. 港湾調整テンプレ
     入出港、タグ・クレーン・廃棄物処理、危険作業届のチェックリスト化で待ち時間を削減。


9|成果が見えるKPI📊

  • オフハイア時間(h/年)/ドック滞在日数

  • 再工事率・同一不具合の再発率

  • 安全指標:TRIR、ヒヤリハット報告率(高いほど学習文化)

  • 工程遵守率:クリティカルパスの遅延回数

  • 予兆アラート→故障回避率/未然防止件数

  • 燃費・排ガス改善量(改造後の実績)

  • 証跡整合率(船級・荷主査察での指摘件数)


10|これからの船舶修理:5つの潮流 🚀

  1. 脱炭素改造の本格化:EEXI/CII対応、プロペラ・エナジーセーバー・メタノール/LNG対応など。

  2. 燃料転換×安全設計:低引火点燃料(LNG/メタノール/アンモニア)に合わせた防爆・換気・検知の再設計。

  3. グリッド化したメンテ:寄港地ネットワークでデータ連携→部材前出し→短時間施工

  4. ロボティクス常用:自律ケレン・水中清掃・タンク点検ドローンで人が危険域に入らない現場。

  5. デジタルツイン:実運航データで劣化予測→部材手配→工程自動編成まで一気通貫。


11|現場メモ:明日から試せるミニ戦略 🧰

  • “寄港3港前”シグナル:センサー異常・要部材を3寄港前に確定→前出し

  • 塗装QCの3点セット:素地粗さ・塗布量・環境(温湿度/露点)を写真+計器値で保存

  • 混合チーム朝礼:船員・ヤード・メーカーで5分RACI(誰が、何を、いつ)

  • ライディング標準BOX:工具・消耗品・安全具の定番セット化で積み忘れゼロ

  • ドック撤収リスト:バース解放のT-48/T-24/T-8hで撤収作業を段階化


まとめ ✨

船舶修理業は、
職人技の現合 → 機械化・標準化 → グローバル分業 → 規制レトロフィット → DX・予知保全
と進化してきました。
これからの競争力は、短時間で“確実に”直す技術に、データと安全と証跡を重ねられるかにかかっています。
“船を止めない修理”こそ、海運の血流を守る最高の価値。現場の一手一手が、世界の物流を走らせ続けます。⚓️

 

 

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